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Interview

小林漆器株式会社

漆の美しさを暮らしの中へ-伝統工芸を未来に繋ぐために-

津軽塗に興味を持ったきっかけ

特に自分から興味を持ったということはなく、きっかけとしては家の仕事として代々続いていたという点です。
当時、東京で働いていましたが、あるとき急に父から連絡があり、そろそろ津軽塗を継ぐのを考えてみないかとのことでした。
それを受けて、この業界に入る決心をし、後継者育成のための研修所に入所しました。そこでは基礎から丁寧に学ぶことができ、道具作りから下地、加色まで約3年半勉強させていただきました。


製品づくりで最も大切にしていること

製作において一番大切にしていることは、見えない部分も決して手を抜かないことです。常にお客様にどうしたら喜んでいただけるかを想像し、価格以上の仕事と思っていただけるように作業しております。


製作のこだわり

・技法

特にこだわっている技法はベースとなる最もポピュラーな塗りの「唐塗(からぬり)」(※1)です。たくさんの柄がある中で約9割がこの「唐塗」ベースです。自分の発想次第で仕上げ方は無限大であるため奥が深いです。

(※1)津軽塗の伝統的な漆塗りの技法の一つで、色漆を複数重ねて研ぎ出し、独特の模様を浮き上がらせる技法です。主に木製品に用いられ、その独特の模様と重厚感、丈夫さが特徴です。

・1つの作品を制作するのにかかる期間

漆は1日に1度しか塗れないため、1つの作品が出来上がるのに約1ヵ月半~3ヵ月ほどかかります。


製品開発の困難

・工程

津軽塗の工程で最も面白く、大変な工程が「研ぎ」です。完成系をイメージしながら何層にも重ねてきた漆を大胆且つ繊細に研いでいきます。研ぎ方ひとつで模様は全く異なります。研ぎすぎてしまった箇所は残念ながら元に戻すことができません。充分に注意を払いながら作業をしなければならないのでなかなか大変で苦労します。

 

・印象に残っている出来事

手間暇かけ、約1ヶ月半~3ヶ月ほどかかる製作ですが、それが完成しお客様の手に渡った時の喜びの声です。この声を聞くために仕事していると言っても良いくらい、嬉しいです!長年仕事をしていますが、これに勝るものはありません。


海外展開に関して

海外の販路はあまりありませんが、難しいと思う点は技法の説明です。しっかり理解してもらうように十分な説明ができれば、バズる可能性を秘めた商品だと思います。また、見た目の評価についてはとても良いですが、価格が少し高いというお声も頂戴します。これについては、しっかりとした技法の説明をすることで解消できると感じています。


津軽塗の美しさを最大限に楽しむために

・知ってほしいこと

特に難しいことはありませんが、日常使いにおいては水に長時間浸けておかないことです。また、固いブラシ類(たわしなど)は使用しない、食洗器、電子レンジは使用しないなどが挙げられます。とても丈夫なので、気にせずたくさん使ってほしいです。

 

・伝えたいメッセージ

時代はめまぐるしい速さで常に変化しており、工芸品もそれに対応する必要があると考えています。弊社では常に新素材やアイテムを模索し、昔ながらの技法も大事にしつつ斬新な発想や色使いで商品開発しております。時代に合ったものづくりこそが非常に大事であり、それが伝統を守り、伝えるということにも繋がります。


さいごに

これからどんな狼煙をあげていきますか?

津軽塗業界は年々、数が減っております。また、後継者もほとんど育っておらず、非常に厳しい状況にあります。需要はあるのに供給できていないというのが現状です。
最優先は人材の育成ということに間違いないのですが、将来的な話をさせていただくと、昔に産業として大規模にやっていた時代があるため、またそれを復活したい!と思っております。そのためには多くの課題がありますが、少しずつ、確実に進め、業界全体を盛り上げ、みんなで何か大きなことを成せれば嬉しいです。


記事協力企業

本記事は、【小林漆器株式会社】のご協力のもと作成いたしました。

▼小林漆器株式会社公式HPはこちら


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